2015年12月19日土曜日

フィンランドで「フォースの覚醒」観てきたまとめ。フィンランドのお店ももっと盛り上がって~



フィンランドで公開初日に「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を観てきました。その様子や関連記事をギズモードジャパンに書いていますので興味のある方はどうぞ。

・いまいち盛り上がりに欠けるフィンランドで「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を公開初日に見てきた

記事中にもある通り、映画公開前にはほとんど映画そのもののポスターなどは見られず、HPやサブウェイなどのコラボ企業広告しか目につきませんでした。私はテレビはほとんど見ることがないのでテレビCMはどうか知りませんが、YouTubeでは公開開始数日ほど前からコタクジャパンでTV予告として紹介されているものと同様のものが流れだしたり、こちらの記事で書いたサブウェイのCMが流れたりしていました。

・サンドイッチ屋が遠い銀河系のカンティーナに?サブウェイとスター・ウォーズのコラボCM

なお、記事中には記していませんが、同CMの韓国版では来店するお客さんのうち、ライトセーバーを腰につけているお客さんの性別が逆転しているのも面白いところです。そもそもフィンランドを含む他国版のCMでは女性がライトセーバーを持っているというのも、「フォースの覚醒」が女性が活躍する映画になっているという視点からも興味深くあります。

『スター・ウォーズ』の旧三部作では、レイア姫を除けば女性が活躍するシーンがほとんどなく、しゃべるシーンに至ってはこちらのコタクジャパンの動画記事でお分かりいただけるように映画3本(386分)の中でたったの1分3秒しかありませんでした。

本編ではメインキャラクターであるレイは当然ながら、レイア、キャプテン・ファズマ、マズ・カナタなどの重要な位置を占めるキャラクターに女性が配役されています。それだけではなく、沢山エキストラが登場するシーンなどでもファーストオーダー側、反乱軍側共に性別、人種の多様性が見られました。

『フォースの覚醒』はまた、映画における性差別をチェックするためのテストである「ベクデルテスト」も合格しています。

そんな『フォースの覚醒』で劇中には出てこないものの活躍するフィンランド人女性の記事もギズモードジャパンに書きました。

・「フォースの覚醒」の宇宙人言語を作ったのは、「インチキ外国語」で有名なあの人

YouTubeでなんとなくそれらしく聞こえる「インチキ外国語」の動画で有名となり渡米したフィンランド人、Sara Forsbergさんの『フォースの覚醒』でのお仕事についての記事です。

そして、公開前こそ盛り上がりに欠けたフィンランドですが、公開開始後からは盛り上がりを見せてきています。その理由はもしかしたらフィンランドの「期待しない文化」にあるのではないか、ということで、フィンランド語の言い回し「Pessimisti ei pety」(悲観主義者は失望しない)、「Älä odota niin et pety」(期待しなければがっかりしない)、そして『フォースの覚醒』劇場にコスプレで来た人たちの写真を交え紹介した記事がこちら。

・「フォースの覚醒」公開されてから盛り上がってきたフィンランド、その理由とは

とはいっても日本の盛り上がりようとは比べ物になりません。新三部作を日本で観て、その時の盛り上がりを知る身として何にもましてつらいのは、グッズもオモチャもフィンランドではほとんど見かけないこと。

食料品店で見かけるのは『スター・ウォーズ』のイラストがパッケージに描かれたヨーグルトくらいなもの。R-kioskiにはイギリス製のストームトルーパーの形をしたチョコレートが置いてありましたが、その程度です。なお、イースターの時には『スター・ウォーズ』のチョコエッグが売られていましたが、そういった「おまけ/オモチャ付き」の『フォースの覚醒』関連商品は私が知る限りは売られていません。あまり物質主義ではない子育てという面ではいいことかもしれませんが、私のようなファンにとっては残念なところ。

オモチャに関しても種類の少なさと値段の高さ(これは物価によるものなのでどうしようもありませんが)は残念な感じです。10月末にトイザらスを訪れたときには、まあまあ数はあったものの、ハズブロかレゴの商品しか置いておらず。オモチャ屋さんであるBR-Lelutにも『スター・ウォーズ』のオモチャは置いてあるにはあるのですが、量もバリエーションも少なくかったです。子供のために『スター・ウォーズ』のオモチャを探しに来た親の姿はまま見かけるのですが、需要があるのに商売っ気はないのかな、と感じずにはいられませんでした。

Kamppi近くにあるHobbyPointではドイツのプラモデル会社Revellの巨大なミレニアム・ファルコン号モデルキットがショーウインドーに展示されていましたが、公開翌日に訪れると「『スター・ウォーズ』モノはもう全部売り切れちゃった」と言われました。ただ店舗によってはCitymarketなどでのRevell製のプラモデルがまだ販売されているところがあるようなのでクリスマスプレゼントに『スター・ウォーズ』モノが買いたい方は要チェックです。

同じスケールのものかわからないけどこんなの:




また、私が訪れた中でも一番豊富に『スター・ウォーズ』グッズを扱っていたのはなんと電気屋さんであるVerkkokauppaでした。TyynenmerenkatuにあるVerkkokauppaでは、他の店で扱っていない商品が多数そろっているほか、Hasbroのブラックシリーズフィギア(現在のベーシックフィギアやデラックスフィギアは肘膝関節が曲げられない80年代に先祖返りしたようなフィギアばかりだが、ブラックシリーズのものは作りも細かく関節も多いためポーズをとって遊べる)の価格はトイザらスよりも10ユーロ安く販売されていました。




なおVerkkokauppaには巨大なAT-ATもありました!

ちなみに、ベーシックフィギアはこんなの。フィンランドではこれでも15ユーロくらい:



こちらがブラックシリーズ。どちらも日本で買った方が断然安いです:



なお、ブラックシリーズは『フォースの覚醒』以前のフィギアは20ユーロほどで販売されていましたが、『フォースの覚醒』からはトイザらスでの価格が一体40ユーロ(約5300円、Verkkokauppaでは確か29ユーロ/3800円)と倍の値段になっています。やはり昨年末ごろから『アベンジャーズ』や『アイアンマン』などのオモチャも同様に、関節の数が少なくなったり、質が低下して価格が上がるなどの現象が起きています。(そのことについては「『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』の2.5インチフィギアシリーズを買ってしまった。なんだこりゃっっ」に記しています。)

まとまりがまったくないけど、以上です(笑)。


(abcxyz)

2015年12月6日日曜日

ネウボラはフィンランドの「出生率を伸ばし」たか?日本の出生率を改善するのに何が必要かフィンランド人に聞いてみた。




ハフィントンポスト日本版の記事で「フィンランドで出生率を伸ばし、児童虐待死を激減させた「ネウボラ」 つながる育児支援に日本も注目」なんていう記事がありましたが、実際のところどうなのでしょうか?また、日本が出生率を改善するのには何が必要なのでしょうか?




ハフィントンポストの記事には

一方、フィンランドの出生率は、1.71と日本の1.42に比べて高い水準(2014年)にあり、子どもの虐待死件数も減少。その背景にあるのが、「ネウボラ」であると吉備国際大学保健医療福祉学部の高橋睦子教授は指摘している。

なんて書いてありますが、実際に統計を見てみると、まずネウボラが出生率を延ばしているようには見えません。

まずはフィンランド統計局Tilastokeskusのページを見てみましょう。それによると、1969年は2.1だった出産率は、2010年は1.87、2013年は1.75、2014年の1.71と年を追うごとに出生率が下がっていっています。まずネウボラが存在している状況でも出生率が下がっている事実があるわけです。

もちろん今の出生率よりも低い数字になっていないのは(まあ来年はまた下がるのでしょうが)、ネウボラがあるおかげもあるかもしれませんが、それ以外にも要因があります。その一つは、日本と違いEU加盟国であるフィンランドは、移民・難民の受け入れを行っているということ。

Tilastokeskusの2012年の発表では「外国語を母語とする人がいなければフィンランドの15歳以下の人の数は120年ぶりに最も低い状態」であるとされており、この20年間で、外国語を母語とする母親が子供を生んでいなければ、子供の数は現状よりも5万人少ないことになるとのことです。

Helsingin Uutisetによればフィンランドで2007年から2011年の間のフィンランド人の女性の出生率は1.84外国人系の人は2.09。この4年間フィンランドで生まれたすべての子供のうちの7.1%は外国系の人が生んだとのことです。

もちろん、移民の数が全人口の5%といわれる(以前行ったプレゼンでTilastokeskusから引用した数字だけど出典ページ失念)なかで、移民系の出生率が2を超えていたところでそれが出生率全体に与える影響は微々たるものでしょうが、小数点以下が大きな違いを生む出生率に与える影響は無視できないものです。



そもそも国にとっての出生率の重要性は、その国の人口(ひいては納税者、労働者)に直接関わるものであるからでしょう。では人口の面でフィンランドを見てみるとどうでしょうか?

年々出生率が下がっていく中で、wikipediaによればフィンランドの人口そのものは毎年増加しています(ただし、増加率は年々下がっている)。

2014年では、フィンランドの人口増加の76%は移民によるものだということです。2013年にはこの人口増加の90%が外国語を母語とする人によるものだとの統計もあります

つまり、人口こそ移民のおかげで維持できているものの、移民が居てもフィンランドの出生率が減っているわけです。

生活や情勢が不安定な時には出生率が高く、生活も社会も安定した状態では出生率が低くなるとよく言われます。事実、統計局によれば人口の増加は第2次世界大戦後がピークで、一番多かったのは1945年9月、この月だけで1万2000人の子供が生まれたとのことです。ハフィントンポストの記事によればネウボラが法制化されたのは1944年ですが、日本を含む多くの国々で戦後ベビーブームが起きたことを考えると、これまたハフィントンポストのいうところのネウボラが「出生率を伸ばした」根拠にはなりません。同様に、現在生活や政治が安定している先進国はどこも出生率が低くなっています。

そう考えると日本もフィンランドも出生率が下がり、少子化になるのは当然なことではあります。



そんななかで人口を維持するために日本ができることは何でしょうか?

それは出産をしやすく、子育てをしやすい環境の整備でしょう。そのためにはフィンランドのネウボラを参考にするのも重要でしょう。しかしフィンランドの例が示すようにそれは出産率による人口減少(出生率が2以下)の歯止めにはなっていません。これまで出産/子育て環境の整備をおざなりにしていた日本が今の人口を維持したいのであれば移民の受け入れも積極的に考えるべきでしょう。(もう一つの考えとしては、わざと生活や情勢を不安定にすることでしょうか。たとえば戦争とかね!)

フィンランド人のペトラさんに尋ねてみたところ、日本で出生率を上げるために日本は:

仕事を出産にやさしい環境にしなければいけない。男女ともに産休が取りやすい環境が必要だし、産休に対する態度が変わらないといけない。会社にとって産休は高くつくから、そこには国の支援もないといけない。父親も同じく産休や育休を取るようになれば、会社にとって男性を雇うのも女性を雇うのも差がなくなるから、就職での男女差別も少なくなる。また、日本は教育の値段が高く、子供が欲しくてもお金がたくさんかかるのも問題だ。

と指摘。ネウボラに関してはそもそも出生率を伸ばすためのものではなく

階級社会の差をなくし、女性の就職する機会、家族の中の幸せ、平等な社会を維持するためのものだと思うし、そもそものポイントは、子供の死亡率を下げるためにできたもの。

だとも語られていました。ネウボラは出産~学校に上がるまでは子育てに対する手厚いサービスを提供してくれていますが、子供がある程度の年齢になればそれ以降は同様の存在がないために、学校の問題は学校で、医療問題は病院で、といった具合に、ある意味では日本と同じような環境になるとの話も。

つまり日本では様々なメディアを通じて「フィンランドのネウボラ」がまるで救世主であるかのように語られていますが、本当に必要なのは制度の導入以前に人々の出産と育児に対する考え方と態度の変化だということです。



フィンランドの人口は2014年末で547万4289人であり、同年増加した人口は2万3020人だという統計がpdfで出ています。2014年にフィンランドに移住した人は3万1950人であり、フィンランドから他国へ移住した人は1万4410人、この1万7540人の入移民超過数(国へと移住してきた人の数から、他国へと移住した人の数を引いたもの)がこの年の人口増加の76%を占めているそう。



蛇足になりますが、Lestadiolaisuusというルーテル教の一派(避妊をしない、お酒も飲まない、テレビを見ない、などの特徴がある)の多いポフヤンマー県(Pohjanmaa)地域に限るとその出生率は2.32、ヘルシンキに限れば日本の出生率より低い1.34です。

また、最近出産された友達によると、(少なくともヘルシンキの)ネウボラでは、出産後に1度、家までネウボラおばさんが来てくれるサービスも始まったそう。実際のところどうかはわかりませんが、もしかしたらネウボラ側が子供の生活環境を確認する意味合いもあるのではと推測されていました。


(abcxyz)

2015年12月5日土曜日

フィンランド語、スウェーデン語、ノルウェー語を絵と音で学ぶ無料サイト「Vi snakker」(ベータ版)




今回ご紹介するのは、フィンランド語、スウェーデン語、ノルウェー語を絵と音で学ぶことのできる無料言語学習ページ「Vi snakker」です。まだベータ版とのことですが、基本的な単語や動詞を簡単に学ぶことができるようになっています。

こちらが「Vi snakker」のサイトです。なんだか沢山文字が並んでいますが、これはプロジェクトの説明(後述)なので無視しても大丈夫。右側のオレンジ色の「⇒」をクリックしてメインページに行きましょう。

このブログ投稿のページ上に掲載している写真がメインページです。まずは右上に左からスウェーデン、フィンランド、ノルウェーの旗のボタンが並んでおり、それらをクリックして学習したい言語を選択します。それから「食べ物」、「衣類/色」、「天気、あいさつ」、「買い物とか」などのテーマを選択します。





例えばこれは「食べ物」テーマを選択したところ。それぞれの画像をクリックすると、それに対応した音声が話されます。左上の「男性」、「女性」ボタンを押すと男性音声/女性音声の切り替えが可能です。単語が聞き取りにくかった場合などは切り替えて聞いてみるとよいでしょう。





一通り音を聞いたら右下の「⇒」マークをクリックすると、復習ページが現れます。オレンジ色に点滅する「再生マーク」が右側に出てくるので、それを押して再生される音を選択しましょう。選択すると右側に正誤回数がカウントされていきます。次に進む場合は右下の「⇒」をクリックすると新たな画像とともに新たな言葉を学ぶことが可能です。





男女マークの隣の「点々がたくさん並んでいるマーク」をクリックすると、自分の成績(復習時に全問正解すると星マークがつく)が見れるほか、好きなところに飛んで言葉を学ぶことが可能です。


このプロジェクトは、北欧理事会(Nordic Council)のNordic Council of Ministersによる生涯学習プログラム「NordPlus」の一部で、スウェーデンのBotkyrka、フィンランドのAxxell Utbilding、ノルウェーのOslo Vo Rosenhofのコラボレーションによりできたもの。デジタルデザインはノルウェーの3Dビジュアル&ゲーム開発スタジオ、Sarepta Studioによるものだそうです。


文字情報がないことが欠点でもありますが、以前ご紹介したヘルシンキ大学の無料フィンランド語オンラインコース「A Taste of Finnish」は全て英語で提供されていることを考えると、こちらは既に取得している言語が何であれ学びやすい作りとも言えます。このプロジェクトに関わっているAxxell Utbildingはフィンランドで移民にフィンランド語を教える会社で、同社が教える移民の中にはアルファベットを使用しない国から来ている人もいる居ます。そう考えるとアルファベットが苦手な人でもアルファベットを知らない人でも画像と音声だけで言語を聞き話すことができるようになるプロジェクトに関わっているのもうなずけますね


(abcxyz)

2015年11月25日水曜日

ヘルシンキ大学が提供するオンラインで無料のフィンランド語コース「A Taste of Finnish」

ヘルシンキ大学が、同大学に数学期留学する学生に向けて無料のオンラインコース「A Taste of Finnish」を公開しています。短期留学生向けの内容とはいうものの、登録も何も必要なく、誰でも試すことができるので、フィンランド語学習に興味のある方はお試しあれ。





内容はというと、学生がフィンランドに到着して迎えの人に自己紹介をするところから始まり、学生寮での生活、カフェに行ったり、大学のタイムテーブル、パーティーなど、日常生活に実際にありそうな状況ばかりとなっています。フィンランド語の音声と、内容が文字起こしされたもの、そしてそれに対応する英語での情報が記されています。

言語の覚え方にはいろいろあり、単語単語を覚えていったり、文法から入っていったりするものがありますが、このコースではそのまま文章をその意味合いと一緒に覚えていくやり方。私個人的にはこのコースの学習方法はとても有機的で、誰にでも覚えやすいものだと思います。文法をもっと学びたい方には「A Taste of Finnish」のサイト内に文法を解説したページ「Grammar」も存在します。また、単語の意味をもっと知りたいという方はウィクショナリー / Wiktionaryなどで調べてみるとよいでしょう。

フィンランド語と英語での内容ではありますが、英語情報も簡潔に記されていますし、英語に苦手意識のある方も学生時代に学んだ英語の復習程度に考えて挑戦してみてくださいね。


image: A Taste of Finnish

(abcxyz)

2015年11月19日木曜日

フィンランドの変な飲み物:リコリス味のエナジードリンク「LAKRIDS」

サルミアッキリコリスなど、黒くて マズイ 人を選ぶ味の食べ物で有名なフィンランド。なんと最近リコリス味のエナジードリンクまで販売されました。





さて、このLAKRIDSはタウリンやカフェインも入っており、その点では一般的なエナジードリンクと変わりありません。でも変わっているのは味がリコリス味だということ。実際に飲んでみると…


匂いはちゃんとリコリスで、液体も黒っぽいすが、味はあまりリコリスっぽくなく、かといってそんなにエナジードリンク風でもありません。以前紹介したタール味のジュース「Rili」に似てるような味です。





製造元はHalva、ギリシャ出身の兄弟により1931年にフィンランドに作られた会社で、普通のリコリスに関しては1951年から製造しています。


(abcxyz)

2015年10月27日火曜日

ジャパンウィークヘルシンキを純粋に楽しめなかった理由 Why I Couldn't Enjoy Japan Week Helsinki





日本語の記述は英語の下にあります。

--- Summary in English ---

Japan Week Helsinki, a series of events that "Promotion of mutual understanding and friendship with host countries" organized by International Friendship Foundation (IFF), was held in Helsinki.

Participants from Japan had to pay 30,000 JPY (approx. 225 EUR) per person for participation fee, plus the cost of visiting and staying Helsinki from Japan had to be paid by themselves. The 30.000 participation fee includes, rents for exhibitions, shipping fees for equipment, "expenses for staff from Japan" and "expenses for interpreters and staff".

But Japan Week was trying to find interpreters and staff in Finland who can work for them as "volunteer". Volunteer interpreters / staffs were offered 7 EUR per hour payment. Which is very low hourly wage in Finnish standard.

I have visited one of their events in Annantalo. Although many Finnish visitors to this event seemed very happy, I couldn't fully enjoy it. Here are reasons and findings from the event:

1. Big company exhibiting, but only "volunteer" interpreters

There was at least one company exhibiting their products. Which is weird especially while those participants from Japan are paying their fees and airfares and end up getting underpaid interpreters, possibly this company is paying for their participation. (Especially one was a "popular" publishing company POPLAR Publishing Co.. Why didn't they exhibit in Kirjamessut anyway?)

2. They also exhibit Japanese culture of disrespecting interpreters and translators

There were several well-skilled interpreters who can interpret between Finnish and Japanese, but others were "volunteer" staff who somewhat speak English or just participants speaking English. Where were promised interpreters? Oh, and some Finnish written posters that supposed to tell people about cultural stuff didn't make sense. Possibly because of underpaid translator/interpreters?

3. "Volunteer" interpreters is necessary to Japan Week, but only the organizers get paid

I have asked a Japan Week staff, who seemed to be involved to the event more than "volunteers" about the issue I mentioned on [2.], and he told me that the participation fee goes for those things I have mentioned on the second English written paragraph. I asked if he also works for this event for 7 EUR per hour, and he said something like

(We) have to prepare a whole year for the events, so (we) get more (money)


And yes, some people involving in Japan Week do get salary and employee benefit, according to their income and expenditure budget infomation.

Some of the "Objectives of Japan Week" mentioned on IFF's website are following:

1. Promotion of mutual understanding and friendship with host countries
2. Promotion of Japanese art and culture, also the introduction of a broad range of subjects relating to Japanese art and culture
3. Development of an international awareness and understanding among the Japanese people

I don't think interpreters, who are the keys to mutual understanding of people and cultures should be treated like this. Especially while some get real payment for what their work, and especially because participants were taught that they are paying for interpreters, not "volunteers", and most of all it was the organizers side who is wanting to have interpreters.




10月21日から26日まで、ヘルシンキで公益財団法人国際親善協会(IFF)による第40回ジャパンウィークというイベントがヘルシンキで開催されました。

先月「通訳の仕事なめすぎ…ヘルシンキ市で開催予定のジャパンウィークが低賃金の謝礼でボラバイト募集中」という記事を書いているので既にご存知の方もおられるかもしれません。

そのイベントの一部ではありますが、実際にAnnantaloで行われたイベントを見に行き、スタッフの方にも少し話をしてきましたのでそれについて書かせていただきます。が、長いのでまずは要約版を。

「フィンランド側の来場者はおおむね満足しているものの、一番の問題は運営側は給料をもらいながらもイベントの実現のために欠かせないはずの通訳をボラバイトで済ましていることにあります。」

この問題を以下の三点を通じてみていきましょう:

1.ボラバイトがいるイベントなのに企業からの出展がある

2.通訳/翻訳業の軽視が世界に広まる日本の文化か

3.必要不可欠な存在はボラバイトでもジャパンウィークのスタッフには給料が出る



まずそれらを詳しく説明する前に、前述の「通訳の仕事なめすぎ…~」の記事ではヘルシンキ大学のアジア研究コースの学生たちに送られてきた通訳スタッフボランティア募集メールを紹介していましたが、それに続報があります。アジア研究コースの学生たちはこのメールに対して「ジャパンウィークは参加者から通訳料を含む料金を預かるのに、フィンランドの清掃員の時給よりも低い謝礼が払われるボランティアで通訳を済まそうとしているが、そのお金は一体何に使われているのかという疑問が生まれざるを得ない」などとメールを送っています。これに対し公益財団法人国際親善協会の事業部のほうからも返事が返ってきており、このようなことが述べられていたそうです。

そこには一人あたり3万円の参加登録料は「ジャパンウィークの運営費用」に充てられており、会場に関わる費用や日本からのコンテナの輸送費、「日本からのスタッフ費用」などに充てられており*、毎年「何とかやりくりして」いる(メールではこの部分にわざわざ下線が引いてあったよう)と述べられています。
なお日本からジャパンウィークに出展/出演する参加者は3万円の参加料を払ったうえで旅行代は自腹です。

また、このようにも記してあります:

限られた予算内でこの「手作り」のジャパンウィーク運営にて、私共は日本文化を通じて国際交流を図ろうとしている

それを踏まえたうえで、実際のジャパンウィークの様子を見ていきましょう。







私が行ってきたのは、Annantaloという文化施設で行われたジャパンウィークのイベント。この日は日曜日だったこともあり多くの方が足を運んでいました。そこでは、折り紙、書道、着付け、生花、祭りや伝統玩具、伝統工芸や手芸などなど、様々な日本文化が展示されていました。でも私はこれを純粋に楽しめませんでした。その理由は以下のとおり。



1.ボラバイトがいるイベントなのに企業からの出展がある





企業からの出展(例えば出版社であるポプラ社)があったのは意外でした。なぜって、通訳がボラバイトスタッフで賄われている「手作り」のイベントですから、企業がまるで自社の宣伝でもしているかのような展示を行っているのは予想外でした。企業を背負って「手作り」イベントに出展するということは、ジャパンウィークの後援でもしているのでしょうか。それとも企業が広報予算から捻出したお金を使って出展しているのでしょうか。ただ明記しておきたいのは、私が訪れた時点では企業出展ブースにはパッと見では通訳ボラバイトはいないようで、来場者とはブースの係りの人が英語で話をしたということ。

しかしながらもう一つ記さないといけないのは、子供向けの絵本の朗読も別室で行われており、そこには能力のある通訳者(在フィンランド日本大使館も関わっていたMalmitaloでの日本イベントでも働いていた方)が通訳として参加していたということです。これがそもそも(展示内容が絵本であった)ポプラ社による朗読のイベントかはわかりませんし、この通訳者の方がジャパンウィークのボラバイト通訳として働いていたのか、それとも企業側から正当な対価を支払われていたのかどうかは不明です。同時にこの週末には「Kirjamessut」と呼ばれる本の見本市がヘルシンキで行われていますが、ポプラ社はそちらには出展していないよう、どうせなら本の見本市で日本をアピールすればいいのに。変な話です。

なお、物品の販売は禁止されているようですので直接の販売はありませんが、試食が可能なブースなどはありました。中にはNPOや手芸のグループなどで純粋に展示を行っている(つまり展示がどれだけ素晴らしくとも金銭が直接的に絡んでこなさそうな)ようなところもありましたが、その一方で一部には商機をつかむために参加をしているように見えるものもありました。

一部の企業の宣伝的なブースの存在と、「ボランティア」として扱われている手伝いや通訳を任されるスタッフの存在との間にはちぐはぐな違和感が感じられます。



2.通訳/翻訳業の軽視が世界に広まる日本の文化か

まず記しておかないといけないのは、この日は日曜日だったということ。そして、ジャパンウィークでは平日にも通訳ボラバイトを募集していましたが、この依頼が届いた私の身近な人たちは「賃金が低い上に平日にボラバイトは仕事/勉強があって無理」と断っていたことです。つまりこの日に私が確認することのできた通訳者たちは日曜日だったから参加している可能性があるということ。

そして通訳のボラバイトは、ジャパンウィーク開催の前の週でもまだ「たくさん探している」状態だったようで、私にも声がかかっています。一部ジャパンウィークの日程と被って日本の高校から800人のフィンランド視察もあったとのことで、そちらでも通訳が募集されていたため(そしてこちらではちゃんと通訳に賃金が出ていたそう)、特にこの時期に低賃金で働くボラバイト通訳者を見つけるのは難しかったと考えられます。

Annantalo内では2つの階にわたって展示やワークショップが行われていましたが、日本語とフィンランド語のできる通訳者がいたのは一部のブースのみでした。日フィン通訳ボラバイトをされている方の一部は、前述したMalmitaloでの日本イベントで働いていた方(でも前述の人とは違う)や、他の日本語-フィンランド語のしっかりした通訳能力のある方もおられました。ボラバイト通訳を断った知り合いの中には、「所属している団体を通して参加要請があったから義務感があったが仕事があることにして断った」という人もいたので、もしかしたらその義務感から渋々参加している人がいる可能性も否定出来ないでしょうし、もしそうならばそれは「ボランティア精神」には反する参加といえるでしょう。

日フィン通訳が居ない場所では、各展示ブースの日本から来た参加者や、フィンランドで学んでいる学生さんなど(こちらはボラバイトスタッフとのことでした)が、英語で来場者とコミュニケーションをとっていました。





また、各ブースの壁やテーブルにはフィンランド語で説明があったのですが、そのほとんどが意味は通じるものの(フィンランド人いわく)「フィンランド語を学んだ日本人もしくは、まったく翻訳という概念を理解できないフィンランド人によってなされた質の悪い翻訳」とのこと。






「質の悪い翻訳」と評価されたものの、その一方で来日経験のあるフィンランド人は、この会場で見た翻訳は「日本の観光地や美術館の英語での説明よりもまし」とも語っていました。つまりこれは日本では一般的に翻訳や通訳が軽視されており、他国でもその質の低さは知られているということです。

翻訳や通訳を自ら行う身としては、「通訳/翻訳を軽視してお金をケチるから質の悪い翻訳になるんだ、ざまあみろ」と言いたくもありますが、母国日本の文化を紹介するためのイベントがこの有様なのはただ悲しいのが正直なところ



3.必要不可欠な存在はボラバイトでもジャパンウィークのスタッフには給料が出る

ジャパンウィークの(正規の?)スタッフとして参加しておられる方に、「参加者は通訳人件費を含む用途に使用されるとのことで3万円の参加費を払っているようだが、通訳は7ユーロのボランティアだ。あなたも時給7ユーロで働いているのか」などと尋ねたところ、

参加費用は輸送費や会場使用料、人件費に充てられている。(賃金は)毎年開催するイベントを企画しなければいけないのでもっと貰っている

といったようなことを話されておられました。(ジャパンウィークの会計詳細については職員給与や福利厚生、交通費も記された収支予算書をウェブサイトから見ることができます。)

国を跨いだ大きな規模のイベントの企画なんて誰もができることではありませんから、正当な(かどうかは不明ながらボラバイトスタッフ以上の)対価をもらって当たり前でしょう。でもそれは通訳の仕事だって同じこと。きっと運送会社や会場だって時給7ユーロではなく正当な対価を払ってもらっているはずでしょう。(会場に関してはヘルシンキ市などが手助けをしている可能性はありますが)

ジャパンウィークのボラバイト通訳が関わるイベントの中では、学校訪問もあったようです。いくら学業が世界トップレベルのフィンランドとはいえ、小学校低学年では母語のフィンランド語やスウェーデン語ではなく、英語でコミュニケーションをとることは難しいです。ましてや一部日本からの参加者の話していた片言の英語では「日本文化を通じて国際交流」を図るなんて絵に描いた餅でしょう。ちゃんとした通訳を雇わない限りは。

それに日本からの参加者は日本の文化を伝えるボランティアとして自腹を切ってフィンランドまで渡航しているわけです。それに加えて「ボランティア通訳」ではなく「通訳やスタッフの経費」も含まれている参加費を払っているつもりで。そこにボラバイトで雇われている通訳者が居て成り立っている。そんな中でもっと仕事をしているからと言って給料や福利厚生(羨ましい)を貰っている人がいるわけです。

本来ならば利害を超えて関わることのできるものこそが「ボランティア」であるはず。ボランティア精神で成り立っている建前のこのイベントで、主催側だけ福利厚生や交通費までちゃんと給料をもらっているのであれば、これを「手作り」のイベントだなんて自称するのがおこがましく感じられないでしょうか







ただ、私は批判だけするつもりはありません。このイベントはこの納得出来ない現状でも文化交流としては意味をなしていないことはありませんし、来場者はもちろんのこと、少なくとも一部のボラバイトは「かなり疲れてはいるが楽しんでいる」と述べていました。





私の友達の間からも、Kamppiショッピングモールで行われたオープニングイベント、Savoy-teatteri(サヴォイ劇場)で行われた琴や舞書、Wanha Satamaで行われていたアート展、などなど、大いにジャパンウィークを楽しんだと感想を教えてくれる声も聞かれます。(もちろんそこには言語を必要としない文化交流の展示や演目も存在しているということは頭においていただきたいですが)

また、フィンランド側でこのイベントに関わっている方は

フィンランドの国の大きさを考えると、これほどの規模の日本文化を紹介するイベントを自国で行うのは難しく、こういうイベントを開催してくれるのはありがたい。

と語っておられました。イベントの趣旨としては悪いとは思いませんし、うまくいっていないことはないのです。でも「失敗してないからいい」とは思いません、特に日本の文化を伝えるという大看板を自ら背負うというイベントなんですから。だからこそきちんとしてもらいたい



ジャパンウィークは同サイトによれば以下の5つを目標としているようです。

1.開催国との相互理解・友好親善の促進
2.日本の芸術・文化の振興と幅広い紹介
3.国民の国際感覚・国際認識の醸成
4.地域の活性化・国際化の促進
5.郷土芸能等の文化遺産の保存・継承に貢献
6.姉妹・友好都市交流の推進

そんな目標を掲げる中で、よその国へとお邪魔して日本の文化を伝えようというときに、そもそもその国の言語を話せる通訳者の必要性を認識しながらも、イベント主催側と同等の立場にないボラバイト扱いで「相互理解・友好親善」なんて促進できるでしょうか?

また、「芸術・文化の振興と幅広い紹介」ともありますが、今回のイベントで見られたようにその国の言語できちんと紹介できていない場合、もしくは相手が理解するとも限らない英語を用いて、本当に芸術や文化が紹介できるでしょうか?通訳/翻訳というのはただ単純に言葉を額面通りに受け取って対応する言葉を吐き出す仕事ではありません。両方の文化と言語を知ってこそ可能なことであり、その点ではたとえ両国の参加者が日常会話レベルの共通語(例:英語)を持っていたとしても、能力のある通訳を通して会話をするのとは、相互理解、文化交流のレベルが違うのです。

そして何よりも日本の文化を伝えたいと日本からやってきたジャパンウィーク側が、イベントの実現のために欠かせないはずの通訳をボラバイトで済まそうとしたということは失礼にもほどがあります。しかも通訳ボラバイトを日本で探してくるのならまだ面子も保てるかもしれませんが、そうではなく開催国で搔き集めようとしているのです。しかも、日本からの参加者は「通訳費用」を払っているはずなのに。

3番目の目標にある「国民の国際感覚・国際認識」はジャパンウィークをもうすでに40回も様々な国で行っているはずの主催側がまず「醸成」しないといけないでしょう。目標に対する計画、予算配分が甘すぎます。



また、最後になりますが、この投稿はただ自分の価値観に照らし合わして納得がいかないために、それを周知するため、疑問に思ってもらうため、深く考えてもらうために、自らの体験と認識の及ぶ範囲の事柄を記しているものです。

そして、私は一部ジャパンウィーク参加者に対して「手伝えることがあれば言ってほしい」と伝えていましたが、それはもちろん偽りではありません。私は現在ヘルシンキに滞在しており、日本語、英語の通訳経験もあり、フィンランド文化への知識がありフィンランド語も片言ならば話せます。そのうえで、自らの利害を超越して知り合いを手伝うことができれば、という意味で言った言葉です。

私自身もボランティア(今となっては偽善的な響きに聞こえますね)もとい、自主的自発的に利益を求めずに日本とフィンランドの文化交流的な展示を行ったことがあります。その時の参加者たちは皆各自仕事がある中で時間とお金を出し合って行いました。もちろん今回のような大きなイベントでは、このイベントのためだけに働く人も必要でしょう。参加者から参加費をとっていますし、日本政府のブースもありましたし、企業や、フィンランド側からも何らかの支援を受けているとも考えられます。そんな中で本当に目標に掲げるように「相互理解」、「日本の芸術・文化の紹介」が行いたいのであれば、もう一度ジャパンウィークの企画のしかた、お金の使い方、そしてその在り方そのものを根元から変えていくべきでしょう。



追記:ジャパンウィークのウェブサイトは前回の記事の執筆以降様、10月1日に変わりして近代的な形相に。それに伴いFAQページには言語に関する質問と回答がありました。そこでは「言葉(外国語)ができないのですが大丈夫ですか?」という質問に対しこんな答えが記されています。

言葉(外国語)ができなくても大丈夫です。

当財団でボランティア通訳を手配します。プロではありませんが、訪問交流や舞台公演、展示・実演にもスタンバイしています。ご安心ください。料金は参加登録料に含まれます。

これにより、これ以降ジャパンウィークに日本から参加される方には語弊が生じないかもしれません。それでも、ジャパンウィークの開催に不可欠な通訳を現地でろくに給料も払わずに調達していながら、主催側スタッフには給料が支払われているという運営姿勢が今後も変わらないのであれば、それはジャパンウィークが自ら掲げる目標には反していますし、世界に対する日本の印象を悪くすることでしょう。


批判があればコメント欄でどうぞ。


(abcxyz)

2015年9月30日水曜日

まだ10月にもなっていないのにフィンランドのお店はクリスマス準備




まだ9月末だというのに、フィンランドのSグループ系列のスーパーPrismaでは、季節限定クリスマスビールやサイダー(こちらのサイダーはすべてアルコール飲料)、写真上のクリスマス時期に飲むGlögi(グリューワイン)などを売り始めています。









こちらは「クリスマス・アップル」サイダー

おもちゃのコーナーでも、レゴの『スター・ウォーズ』アドベントカレンダーが売られていました。昨年もこのPrismaでは10月初めにはクリスマス用の装飾品を売り出していました。





先週ごろからようやく秋らしくなってきたと思ったばかりなのですが、もうクリスマスが待ちきれないのかな…


(abcxyz)

2015年9月28日月曜日

十二単に書道に折り紙!ヘルシンキの日本文化イベントレポート

去る9月26日、在フィンランド日本大使館とMalmitalo、Turku私立図書館によるイベント*「Japanilaista teetaidetta ja kimonoja」(日本語タイトルは「桜と平成の源氏物語絵巻展:書と茶」)を訪れてきました。





このイベントは、ヘルシンキ市のマルミ(Malmi)にある文化センター「Malmitalo」で行われただれでも自由に参加できる無料のイベント。このMalmitaloでは、今年に入ってから数回「Popcult Day」というポップカルチャーイベントが開かれたりもしており、当ブログでもご紹介したことがあります。このほかにもMalmitaloでは昨年、10代前半の若者を対象にした日本文化紹介コースも開かれており、日本関連のイベントとも無縁ではありません。





さて、せっかくなので着物を着てイベント会場についてみると…あれ、閑散としている?





そんなことはありませんでした。中の劇場では、日本伝統文化研究所の堀江恭子先生(紫の着物の方)による十二単のショーと、お茶体験が行われていて、来場者がみんなそちらに行っていたよう。劇場はほぼ満席でしたよ。







茶道のほうはちゃんと見なかったものの、フィンランド人ぽい着物を着た男性と、日本人のお茶の先生がお茶を点てていたよう。

(ちなみにスオメンリンナ島/Suomenlinnaには裏千家の茶室が建っています。フィンランドと裏千家の歴史はけっこう長いんだそうですよ。)





お茶体験には長蛇の列が。





来場者は老若男女幅広い層の人が来ており、中には猫耳に猫っぽい手足(?)、尻尾も付けた女の子、ゴスロリの服装の子、そして、本格的な着物を着たフィンランド人の姿も。私に話しかけてきた中年男性の方は「昔はシマノと、今では三菱と働いてる」なんていう方も。

劇場で十二単のショーが終わると、Malmitaloの通路部分では書道で好きな文字を書いてもらうことのできるコーナーや、つまみ細工の販売が始まりました。





書道では「愛」、「平和」などの文字のほか、「私をイメージして何か書いて」、とかいう要望があったりもしていましたが、柔軟に対応されていました。さすが。





Malmitaloの中には図書館もあり、図書館の内部では折り紙のワークショップが行われていました。参加者は小さな子供から高齢の方まで、日本人の図書館職員の方の指導のもと、折り紙本を読みながら様々な折り紙を作っていました。





図書館では日本関連の本の特集もなされていました。着物から食べ物、歴史まで、幅広いジャンルの本が並べられ、日本文化を紹介していました。





もちろん漫画も。なぜか団扇や皿も図書館内に展示されていました。





Malmitaloの廊下部分には外務省が出している日本紹介マガジン「にぽにか」が。「にぽにか」にはウェブ版もあります





2階部分は書や源氏物語の絵巻物が展示されていました。





在フィンランド日本大使ご夫妻も来場されていたこのイベント。来場者は、皆興味深そうにそれぞれの催しものを楽しんでいました。この次の日には同イベントはフィンランドの古都、Turkuで行われるそうです。

先日大いに批判したジャパンウィークとは違い、ここで通訳として活躍されていたヘルシンキ大学の日本語専攻の学生さんによればちゃんと正当な対価が支払われているとのこと。よかったよかった。

*なお、イベントのプロデュースは元シリア大使の国枝 昌樹さんが会長、今回来フィンされていた堀江恭子さんが副会長を務める「 The Executive Committee of Traditional Arts of Japan, Towards the 21st Century」(たぶん日本名は「日本の伝統芸術21世紀展実行委員会」もしくは「日本の伝統芸術21世紀展望展実行委員会」。いろいろな国で同様のイベントをやっていることくらいしかネットには載ってないけど)。


(abcxyz)

2015年9月27日日曜日

通訳の仕事なめすぎ…ヘルシンキ市で開催予定のジャパンウィークが低賃金の謝礼でボラバイト募集中

10月21日から26日の間、第40回ジャパンウィークというイベントがヘルシンキで開催されます。これは公益財団法人国際親善協会(IFF)によって開かれるもので、日本文化を世界に伝え、その土地と交流するというもの。日本からは今年7月までパフォーマンスや展示などの出演/出展者を募っていました。





出演・出展者募集の案内資料(pdf形式)によれば、日本から出演、出展しようとすると、渡航費は自分で払わないといけない上に、参加料金として一人当たり3万円が必要でした。その参加料金は会場施設や「通訳やスタッフの経費」、運送費などに使用されるとのこと。

「通訳やスタッフの経費」なんて書いてありますが、名門ヘルシンキ大学のアジア研究コースの学生たちに送られてきた通訳スタッフボランティア募集メールによれば、支払われるのは人件費としては少なすぎる金額でした。





ジャパンウィークが募集しているのは、通訳とアシスタントの「ボランティア」。1時間当たり7ユーロ(約950円)の謝礼が「このイベントをヘルシンキ市と共に企画している財団法人国際親善協会から支払われ」るとのこと。

でもそこには大きな問題があります:


本来ならば参加者が通訳経費を払っているはずなのに、主催者はひどく安い賃金でボラバイトを募集している。




この問題から、気になる点を3点挙げていきます。

ひとつ:・高い能力を必要とする割の合わない低賃金のボラバイト・

ふたつ:・実際にフィンランドと日本の文化の架け橋となるのは質の悪い通訳かも・

みっつ:・参加費で通訳スタッフの費用を捻出してるはずなのに・



・高い能力を必要とする割の合わない低賃金のボラバイト・

この通訳の募集は「通訳スタッフ」ではなく「ボランティア」扱い。フィンランドには最低賃金の制度はありませんが、知識や経験がなくてもすることの可能なスーパーのレジだと時給12ユーロ(約1600円)、掃除のバイトでも9ユーロ(約1200円)ほどです。

フィンランドでは通訳の金額は最低でも手取りで一時間40ユーロ(約5400円)からです。これは以前別ブログにで批判した、鳥取市のタダ働き「鳥取市国際観光民間サポーター」と同じく、通訳が必要とする技術や知識を軽視して、正当な対価を払おうとせずに利益だけ得ようと言う姿勢です。

なお、ジャパンウィークで募集されているこのボランティア/ボラバイトの内容はこのとおり:

日本からのJapan Weekに参加する団体をホテルまで迎えに行っていただき、学校訪問の際に、披露する文化交流プログラムの説明、また、ワークショップの際の通訳とアシスタントをしていただけるボランティア

日本人には「日本語は難しい言語だ」と考える変な傾向があるようで、日本語をちょっとでも話すことのできる「外国人」には「日本語難しいのに喋れて凄いね」なんてよく言うにも関わらず、翻訳や通訳の能力は過小評価しています。世界の人口が70億人と言われる中で、日本語話者数は世界で1億人程度存在しますが、フィンランド語の話者は世界にわずか600万人程度しかおらず、その600万人のうちに日本語の通訳が可能な人がいる割合はかなり少ないはずです。一方、例えば英語話者は世界で7億人程度いるとされているので、英語~日本語通訳者なら安くても仕事を受ける人がいるかもしれませんが、フィンランド語と日本語の通訳という稀な技能を時間、労力、お金を費やして習得した人を、割にあわない金額で働かせようというのはもってのほか。フィンランドの通訳者は(英語はこの限りではありませんが)ほとんどが大学院卒だということも加えておきましょう。

また、安い金額で仕事を引き受けることは同業者の給料を下げることにもつながります。フィンランドでは字幕業界が低賃金化による翻訳の質の低下を招いているという問題もあります。

「それでも一時間に7ユーロの謝礼があるからいいじゃん」、「通訳できるならただでやってあげてもいいじゃん、減るもんじゃないし」と思う方もおられるかもしれませんが、これを読んでいる皆さんの仕事やバイト、専門知識を活用して普段ならお金をもらうはずのことを考えてみてください。誰かを「助ける」ためならまだしも、自分たちの事業のためにタダで働かせるなんて都合よすぎます。

しかも、みんながみんな完全なボランティアならまだしも、ちゃんと資料には「通訳やスタッフの経費」がジャパンウィークの参加費から取られていると書いてあるんです。だったらちゃんとお金を払ってあげるべきです。




・実際にフィンランドと日本の文化の架け橋となるのは質の悪い通訳かも・

もちろん、きちんとお金を払ったからといって、確認するすべがない限りは通訳がきちんと行われているのかはわかりません。でも、そもそも正当な対価を払っていないとなるとなおさら怪しいものです。映画『ロスト・イン・トランスレーション』で描かれているこのシーンは、能力のない通訳と、その能力を確認するすべのない雇い側とが揃えばどうなるのかを描いた恐ろしい情景です。この光景もきっとその元となる日本でひどい通訳の経験があって描かれるに至ったことでしょう。





ヘルシンキ大学の日本語コースはその厳しさと質の高さでも知られています。今回のボラバイト要請メールを受け取った同コースの学生らは「私達をバカにしているのか」と捉えており、参加する気はないようです。もちろん彼らだって、例えば「戦争により日本から難民が来た」などといった状況ならばボランティアで働いてくれるでしょう。しかしそれとこれとは状況が全く違うことは明白です。

レベルの高いヘルシンキ大学の学生たちが全員このボラバイトを断ったとすれば、もしかしたら映画『ロスト・イン・トランスレーション』に出てきたような質の低い通訳しか集まらない可能性があります。「でも流石に通訳がろくにできない人は雇わないだろう」とお考えかもしれませんが、ボラバイト募集メールは「フィンランド語~日本語」の通訳を募集していながらも、英語と日本語で書かれています。これはつまり募集している側にはフィンランド語と日本語の通訳能力を判断する能力がないことを示しています。

もしこれが英語と日本語の通訳ならば、義務教育で多少なりとも学んだ言語知識を使って単語程度は聞き取れるでしょう。でも「モイ!」と「キートス!」、「ムーミン」に「マリメッコ」くらいしか日本では知られていないフィンランド語。雇う側には知識が無くて通訳の質を確認できないにも関わらず、お金もろくに払わないつもりで果たしてまともな通訳者が見つかるでしょうか?



・参加費で通訳スタッフの費用を捻出してるはずなのに・

そもそも渡航費のほかにも参加者が払わないといけないジャパンウィークの参加費は、通訳やスタッフの経費にも充てられるはずじゃなかったんでしょうか?もしかしたら今回募集がかけられている翻訳ボラバイトとは別に正規の(=労働に見合った賃金を払われた)「通訳スタッフ」が存在するのかもしれません。でも参加者をホテルまで迎えに行ったりまでするボラバイト内容からも、このボラバイトのことを「通訳スタッフ」と考えても差し支えないはず。

これまでのジャパンウィーク参加者は、前述のPDFの以前の参加者と下の画像のヘルシンキでのジャパンウィーク参加者見込みによれば1000人前後。一人頭3万円なので、3000万円は会場経費、通訳やスタッフの人件費、貨物輸送費用に充てられるわけです。しかも、下画像の通りジャパンウィークはいろいろな団体が後援、助成、協賛する(予定)にもなっていますから、このプロジェクト全体ではもっと大きなお金が出ているはずです。





…それでも通訳ボラバイトは1時間につき7ユーロの謝礼しか出ないのです。現地通訳ボラバイトによって手伝ってもらうことになるのは実際に参加費を払っているジャパンウィークの参加者たちでしょう。そしてその「通訳やスタッフの経費」も自分で払っているつもりの参加者たちが、通訳の質により一番影響を受ける/被害を被るのです。そうなれば、サービスを受けるためにお金を払っているはずの参加者側も能力を過小評価されてボラバイトをする側も共に損をすることでしょう。

もし国際親善協会だけが特をしているとすれば大問題ですし、通訳やスタッフを正規の金額で雇うお金が無いなら計画が甘すぎます。



まとめ

・参加者は公益財団法人国際親善協会に「通訳やスタッフの経費」を含む参加費を払っている。

・公益財団法人国際親善協会は低賃金のボラバイトを雇おうとしている。

・通訳者としての資質と意識のある人たちはこのボラバイトをしようとしていない。

・そうなるとたぶん質の低い通訳しか集まらないが、主催者側には確認するすべがない。


つまり

・国際親善協会の通訳に対する姿勢・計画は甘すぎる




・提案・

そもそもちゃんとした通訳スタッフをちゃんとした金額で雇えないのであれば、参加費用を上げるとか、ちゃんと助成金を取ってくるなどすべき。それができないのであれば、日本から可哀想な通訳ボラバイトに旅費くらい出してやって連れて来てやるべき。



今回はまだ開催まで日にちがあるので、どうにかお金を支払うことも不可能ではないでしょう。だが、公益財団法人国際親善協会がもし、言語による意思の疎通を含めた国際親善を行いたいのであれば、通訳くらいは正当な対価を払って雇うべきであり、そうする意向がないのであれば、『ロスト・イン・トランスレーション』状態になっても仕方がありません。そしてそうなってもまだ国際親善を図ろうとするのであれば、日本の文化その他が間違って伝わってもしょうがないでしょうね。


批判があればコメント欄でどうぞ。


*実際に参加しての感想はこちらの投稿に記しています*

(画像は出演・出展者募集の案内資料(pdf形式)とJapan Week Helsinki 2015からのEメールからの引用)

(abcxyz)

2015年9月19日土曜日

フィンランド版プッチンプリン?「Valio Kermavanukas」製品パッケージデザインは日本のほうがやっぱり上だった




日本を一歩外に出ると、日本の製品のパッケージがどれだけ利用者の視点に立って作られているの気づかされます。

例えばフィンランドでは、お店で売られている肉が入っているプラスチックの入れ物が非常に開けにくく、明け口がついているのにそこから開けようとすると容器の上面が引き裂かれるようになって結局開けられなかったり…

そんななかで、フィンランドの乳製品会社Valioが、(たぶん)フィンランド初のプッチンできるプリンを発売しました。

それがValio eilaブランドの「Kermavanukas」(クリームで作られたプリン)。





日本のプッチンプリンの、底についている棒状の部品をプチっと折るだけでプリンっ!とお皿の上にプリンが滑り出す洗練された感じはありません。裏面を三回も押して、しばらく待ったら出てくるというわけです。


どんなもんか、実際に試してみました。今回試したのはVadelma味(ヨーロッパキイチゴ味)です。








実際にやってみるとなかなか大変。やっぱりこういうところで日本の商品のすごさを感じちゃいますね。


ベース部分のお味のほうは、クリームで作られたプリンといっても、日本の「クリームプリン」とか「生クリームプリン」とか言ったものとは全然違い、フレッシュチーズの一種でクワルクとも呼ばれるRahkaから酸味を引いたような触感とお味でした。





日本のプリンの感覚で食べると「なんだこれ!?」となるかもしれませんが、好きな人は好きになる系の味だと思います。キイチゴソースはおいしかったです。


(abcxyz)