2016年3月31日木曜日

フィンランドはEUで最も規制が厳しい国?「2016過保護国家指数」

フィンランドはヨーロッパの中で一番厳しい国のようです。見方によっては国が個人の自由を奪っているようにも、はたまた、国が国民の健康を守るために管理しているようにも見えます。

これはInstitute of Economic Affairsによる「Nanny State Index」(「2016過保護国家指数」。Nannyは乳母、Nanny Stateで「過保護国家」の意)によるもの。この指数ランキングでは、EUの国々でどれだけ個人のライフスタイルが制限されているのかを示しています。例えば、アルコールや甘いもの、たばこなどが規制(それらへの課税など)されていると、順位が高くなります。

そこで一位となったのはフィンランド!次いで2位スウェーデン、3位UK、4位アイルランド、5位ハンガリーとなっています。ここで考慮されているのは、電子タバコ、タバコ、食品、アルコールの4項目となっています。それぞれの項目の詳しい内訳(税金をはじめ、例えば広告への規制や量による規制、自動販売機の禁止など)はNanny State Indexのサイトでご確認いただけます。

ちなみに最も国民が「自由」な国のトップ5は、今回のリストで一番自由な国となったチェコ、次いでドイツ、ルクセンブルグ、オランダ、スロバキアとなっています。

国民の健康を国民の選択にゆだねるのか、それとも(たとえて言うならば麻薬の禁止のように)国が国民の健康を害するものを規制するのか、皆さんはどちらがいい国だと思いますか?


Talouselämä via Telegraph via [Nanny State Index]

(abcxyz)

2016年3月29日火曜日

大人のフィンランド語 「kuppa」はマリオのラスボス「クッパ」ではなく性感染症…

kuppa (くっぱ) ― マリオのラスボスでも韓国料理の「クッパ」 でもなく性病の 「梅毒」!

なお、日本が世界に誇るゲーム「マリオ」シリーズでおなじみのラスボス「クッパ」は、欧米版では「Bowser」という名称です。フィンランド語版の「マリオ」は存在せず、フィンランドの人たちは英語版で遊んでいるため、「クッパ」と言っても通じません。ただし、欧米版マリオでは「ノコノコ」のことを「Koopa」と呼びます。でもフィンランド語読みするとこれは「こおぱ」となるので、フィンランド人に「日本のゲームに出てくる『梅毒/
kuppa』っていうキャラ知ってる?」とか聞いても通じないかもしれません。


Japanese:kuppa
・クッパ(Video game Mario series' "Bowser"'s Japanese name.)
・クッパ(Korean soup with rice, written as "Gukbap" in Roman alphabet)

Finnish:Syphilis, STD

2016年3月24日木曜日

touhukas 豆腐カス? …って湯葉のこと?

touhukas (とうふかス) ― 「豆腐カス」 じゃなくて 「元気いっぱいな」!

以前ご紹介した「Mitä sä touhuut? 見たさ豆腐ー??」で出てきた「touhu」を形容詞にした形です。

ちなみに「touhottaa」だと元気がありすぎる感じのちょっとネガティブな意味合いになります。

Japanese:touhukasu
・豆腐(tofu)
・カス(scum)

Finnish:energetic, active (adjective)

2016年3月18日金曜日

sikasi しかし?

sikasi(すィかすィ) ― 「しかし」みたいに聞こえますが「あなたの豚」という意味です。

「豚」という意味の「sika」に、「あなたの」という意味の語尾「~si」が付いたものです。


Japanese:しかし sikasi
・しかし(but)

Finnish:your pig


(abcxyz)

2016年3月13日日曜日

連載・さらば福祉国家 首都大規模デモ:与党党首らに「私たちは絶対屈しない!」

昨日、政府の「節約政治」に反対するデモが行われたと書きましたが、デモ参加者によれば、その時のシュプレヒコールはこちらでした。

「Soini, Stubb, Sipilä, emme alistu ikinä!」

「Soini、Stubb、Sipilä、私たちは絶対に屈しない!」この3つの名前はフィンランドの与党三党の党首たちの名前、(Timo) Soini, (Alexander) Stubb, (Juha) Sipiläのことです。

「Perussuomalaiset / 真のフィンランド人党」党首 Timo Soini 外務大臣
「Kansallinen kokoomus / 国民連合党」党首 Alexander Stubb 財務大臣
「Suomen Keskusta / フィンランド中央党」党首 Juha Sipilä 総理大臣

このデモには1万人が集まったそう(と伝え聞くものの、一応Yleは「警察の見積もりでは8000人程度」としています。ただ、警察の見積もりはフィンランドではどのデモに対しても少なく見積もる傾向があるそう)。フィンランドの人口は約550万人なので、これは非常に大きなデモです。例えば昨年のTTIP反対デモは1000人集まっています(AFP曰く。Yleの報道では800人)。

フィンランド人ですら今の政府には希望が持てない今、果たして次期全国選挙の2019年までに国はいい方向に変わっていけるでしょうか?

政府としては、現在悪い立場にいる人たちがお互いに怒りの矛先を向けあうようになればいいとみているのでしょう。これのいい例は何かというと、世界の多くの国で状況が悪くなると政治が右翼的になる傾向がみられることです。本当の問題点を覆い隠し、例えば国内にいる移民や帰化した人、外国に憎しみを注ぐような党(例えば真のフィンランド人党とか)に人気が出るのです。

または、例えば高齢者と学生が互いに、「高齢者は年金もらいすぎだ!」、「若者は学生支援金もらいすぎだ!」などといがみ合う状況になれば、立場の悪い低所得者の負担が高くなっているにもかかわらず、高所得者の負担は低くとどまっている状況が隠されるというわけです。日本でも、中国や韓国など近隣諸国に国民の視点を向けさせようとする日本の現政府や、それに加えて国民にとっては直接関係のない芸能問題などを政治よりも大きく取り上げるメディアなども同じ事でしょう。

今回のデモでは、そんな状況にある学生、若者、失業者、高齢者、障がい者、皆が一丸となって政府に立ち上がったデモということで、私の周りではこのデモを高く評価する声が聞かれます。

なお、今回聞かれたシュプレヒコールは実は昨年にも叫ばれていたものです。昨年11月、すでに大学から節約することが決まっていた状態で、ヘルシンキ大学が式典のスピーチに財務大臣であるStubbを招待しました。教育から節約するという公約違反に、大学教授も含め1000人以上首になるかもしれない、そんな中でこの「節約」に責任のある財務大臣Stubbがヘルシンキ大学にスピーチのために招待されることが、大学の学生と職員たちの怒りを買いました。学生たちは大聖堂側のロビーでデモをしており、その時に使われたシュプレヒコールもこれと同じ「Stubb, Soini, Sipilä, emme alistu ikinä!」でした。


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2016年3月12日土曜日

連載・さらば福祉国家 今週はヘルシンキで三つも大規模なデモが

今週は3つもデモが行われました。デモはフィンランド語で「mielenosoitus」です。

まずは学生支援関連のもの。現政権の予定では、学生支援金が下がり、受給期間が短くなり、学生ローンの条件が悪くなり、これに反対するデモでした。

二つ目は、昨日、数百代のトラクター、数千人の農家が全国からSenaatintori(ヘルシンキ大聖堂の前のとこ)に集まってデモをしているのです。これはロシアへの経済制裁と、農作物の値下がり、昨年よりも農場の収入は平均40%下がるとみらており、そのうえ、今年の農業支援金がまだ出ていないことが決め手となって行われたデモだそうです。なおこのヘルシンキでのデモに合わせ、全国でこれを支援するデモも行われたよう。

前回の国会選挙で議員数を14増やし、総理大臣を選出したフィンランド中央党。フィンランド中央党は1964年まで「maalaisliitto / 田舎連合」という名前で、田舎が空っぽにならないための対策や、学校が田舎にもあるようにしたり、田舎を生かそうとする保守的な党です。農業者はKeskustaに票を入れるというイメージがありますが、現政府には農業者にも不満があるよう。

「俺たちがいないとお前らも食うもんがないだろ!」というデモなわけです。これに対しSipilä首相は「メッセージは受け取りました」と語ったそう。

そして三つ目、今日行われたデモは今の政府の「節約政治」に反対するデモでした。学生、失業者、高齢者、障がい者など、もうすでに悪い状況にある人に対する節約政治をやめてほしい。「節約」自体に反対しているのではなく、多くの人はどこで節約しているかに納得できていないのです。


[via Yle, via Yle]

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2016年3月11日金曜日

連載・さらば福祉国家 フィンランド首相:税金逃れを指摘されると「非常に悲しい」

国会の質疑応答でLi Andersson(Vasemmistoliitto / 左翼同盟)からの質問に対するフィンランドの首相Juha Sipilä(Suomen Keskusta / フィンランド中央党)の回答が話題となっています。


Andersson:

政府が学生や労働者の収入をたくさん切っているのに、同時に最もお金持ちの人は収入からほとんど税金を払っていないことを知りました。これは合法的な税金逃れです。あなたはこの収入の高い配当を受ける人たちをこの今行われているフィンランドの「節約政治」に参加させるつもりはありますか?そっちのほうが収入の低い学生の収入をさらに節約することより、もっと正しい選択肢ではありませんか?


この「節約政治」というのは、「国債を減らさないとヤバいんじゃね?」みたいな考えから、公約を平気で無視して、教育を始め、医療、生活保護など、様々な分野の予算を削り、大学教授たちも次々と辞めさせられている今の政権のやっていることです。


Andersson:

総理大臣自身はいわゆる"Vakuutuskuori"(税金逃れのシステムの一つ)を使って自分の財産を預けてますね。これは自分の財産を隠せたり配当を税金なしでもらうことをすることを可能にするシステムですよね。これはつまりお金持ちのフィンランド人たちが使う税金逃れの手段であります。

あなたはこの福祉社会を支援するためにこのシステムを改善するつもりはありますか?

これに対してSipilä首相は

私自身が脱税*をやっていると言われているようで、非常に傷つきます。

と答えています。

*実際にはVeronkieltoと言っている。VeronkiertoのWikipediaページを日本版にすると「租税回避」となるが、Veronkieltoは違法であり、「脱税」の意味となる。

Anderssonは「私はその違法な脱税の話はしていません、合法なものの話をしていました。」などと言ったそうです。

合法な税金逃れをしていると指摘され、違法な「脱税」はしていないと言い返す首相。これまでフィンランドが注目されてきた教育や福祉のお金は節約するのに、結局自らを含む金持ちには媚びを売っている

質疑応答の話に戻ると、Sipiläはほかにも「会社を売るときに、ルクセンブルグを経由して売るようアドバイスされたこともあったが、フィンランドに税金を払いたいために、そうはしなかった。僕はここ(フィンランド)で勉強して、ここは治安がいい国で、自分の税金の払い方で人々のモデルとなりたい。」なんて言ったそう。

「フィンランド人に生まれることは、それだけで宝くじに当たるようなもの」と言われてきたフィンランド。私の周りのフィンランド人たちも「これまでは不満があってもフィンランドに希望が持てたが、さすがに今の政府には希望もないかも」、「フィンランドの売りだった教育や福祉に回す予算を減らして、システムを壊して、今から昔の予算に戻したって、元に戻るには数十年かかるだろう。現政権の4年間でどれだけフィンランドが破壊されるのか」などと語っています。


翻訳: Petra@妙見星の下で

Yle, Iltalehti, [YLE]

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unten suru 運転する?

unten suru (うんてん すル) ― 「運転する」?ではなく「夢々の悲しみ」という意味です。

「unten」は「uni」の複数形。

「suru」の意味は「懸念する」の投稿で説明していますのでそちらをどうぞ。

Japanese:うんてん する unten suru
・ (I do) drive
運転 drive
する do

Finnish:
・unten - plural of dream
・suru - sorrow

2016年3月8日火曜日

フィンランドのクレカCM、あのキャッチーな曲は誰の歌?

しばらく前にフィンランドではYouTubeでクレジットカード会社のCMがヘビーローテーションされていました。CM自体は「ショーウインドーの前で出会った二人が、マスターカードでタンデムバイクを買って…時は流れて婚約、結婚」という(よくありそうな)もの。





非常にキャッチーな曲ではありましたが、このCMは昨年末フィンランドでYouTubeを見ようとすれば必ずと言っていいほど流れていて、一部には嫌気がさしていた人もいたよう。それでも曲が耳につくのは事実。気になったので誰の曲なのか調べてみたところ、以前音楽ブログでも紹介していたフィンランドのシンガーソングライター、Chisuの「Ihana」という曲でした。





CMでも使われている印象的なサビ部分は「Sun kanssa kaikki on vaan ihanaa」、「あなたが居れば何もかもがただ素敵なの」といった意味です。

kansa 監査?」、「kaikki 快気?」、「ihana 「猪鼻」さん?」のそれぞれの意味も以前紹介していますのでどうぞ。

ちなみに、日本でも「プライスレス」で知られるマスターカードですが、フィンランド語ではプライスレスは「korvaamatonta」となっています。


なお今回ご紹介した曲「Ihana」は、Chisuの4枚目のアルバムとなる2015年リリースの『Polaris』に収録されています。






(abcxyz)

2016年3月7日月曜日

ihana 「猪鼻」さん?

ihana (いはな) ― 「猪鼻」 じゃなくて 「素敵」!

「ihana」は形容詞で「素敵」、「素晴らしい」といった意味です。よく使われるので覚えておいて、素敵なものごとを見かけたら使っちゃいましょう。

Japanese:いはな ihana
・猪鼻(family name, literal meaning is "wild boar nose")

Finnish:wonderful (adjective)

2016年3月4日金曜日

フィンランド語辞書に新たに加わった言葉には、コーヒーに関するあんな言葉も

前回の「nigiri」に引き続き、フィンランド国語センター「Kotimaisten kielten keskus」監修のフィンランド語辞書「Kielitoimiston sanakirja」の2016年版に新たに加わった言葉です。それは…


「erikoiskahvi」、「スペシャルコーヒー」

コーヒー消費量世界一とされるフィンランドにはこれまで、普通のコーヒー以外のコーヒー、つまり「カプチーノ」、「モカ」、「エスプレッソ」などをひとまとめに指す言葉がなかったんです。

びっくり!かもしれませんが、フィンランドのコーヒー消費量の多くを占めているであろう一般的な「kahvi」コーヒーを知る人にとっては驚きは何もないかもしれませんね。なお、erikoiskahviに対して「普通のコーヒー」は「tavallinenkahvi」と言いますが、もちろん普通に飲んでるコーヒーなので、これは普通はただ単に「kahvi」と呼びます。


(abcxyz)

2016年3月1日火曜日

フィンランド語辞書に今年新たに加わった言葉の中に日本語が!その言葉とは…

フィンランド国語センター「Kotimaisten kielten keskus」(略してKotus、国の機関)の監修するフィンランド語辞書「Kielitoimiston sanakirja」の2016年版に新たに加わった言葉の中に、日本語から来た単語が含まれていました。

その言葉は「nigiri」、そう「握り」です。

ここに載っていればそれは「フィンランド語」と認められるものです。これにより「握り」もフィンランド語に入ってきた外来語となったわけです。

なお、お寿司屋さんで使われる「maki / 巻き」、「nori / 海苔」などはすでにフィンランド語辞書に入っています。以前より様々なタイプの寿司屋さんが乱立するフィンランドですが、もしかしたらきちんとしたお寿司を出すお寿司屋さんが増えてきているとかかもしれませんね。


(abcxyz)