2016年3月11日金曜日

連載・さらば福祉国家 フィンランド首相:税金逃れを指摘されると「非常に悲しい」

国会の質疑応答でLi Andersson(Vasemmistoliitto / 左翼同盟)からの質問に対するフィンランドの首相Juha Sipilä(Suomen Keskusta / フィンランド中央党)の回答が話題となっています。


Andersson:

政府が学生や労働者の収入をたくさん切っているのに、同時に最もお金持ちの人は収入からほとんど税金を払っていないことを知りました。これは合法的な税金逃れです。あなたはこの収入の高い配当を受ける人たちをこの今行われているフィンランドの「節約政治」に参加させるつもりはありますか?そっちのほうが収入の低い学生の収入をさらに節約することより、もっと正しい選択肢ではありませんか?


この「節約政治」というのは、「国債を減らさないとヤバいんじゃね?」みたいな考えから、公約を平気で無視して、教育を始め、医療、生活保護など、様々な分野の予算を削り、大学教授たちも次々と辞めさせられている今の政権のやっていることです。


Andersson:

総理大臣自身はいわゆる"Vakuutuskuori"(税金逃れのシステムの一つ)を使って自分の財産を預けてますね。これは自分の財産を隠せたり配当を税金なしでもらうことをすることを可能にするシステムですよね。これはつまりお金持ちのフィンランド人たちが使う税金逃れの手段であります。

あなたはこの福祉社会を支援するためにこのシステムを改善するつもりはありますか?

これに対してSipilä首相は

私自身が脱税*をやっていると言われているようで、非常に傷つきます。

と答えています。

*実際にはVeronkieltoと言っている。VeronkiertoのWikipediaページを日本版にすると「租税回避」となるが、Veronkieltoは違法であり、「脱税」の意味となる。

Anderssonは「私はその違法な脱税の話はしていません、合法なものの話をしていました。」などと言ったそうです。

合法な税金逃れをしていると指摘され、違法な「脱税」はしていないと言い返す首相。これまでフィンランドが注目されてきた教育や福祉のお金は節約するのに、結局自らを含む金持ちには媚びを売っている

質疑応答の話に戻ると、Sipiläはほかにも「会社を売るときに、ルクセンブルグを経由して売るようアドバイスされたこともあったが、フィンランドに税金を払いたいために、そうはしなかった。僕はここ(フィンランド)で勉強して、ここは治安がいい国で、自分の税金の払い方で人々のモデルとなりたい。」なんて言ったそう。

「フィンランド人に生まれることは、それだけで宝くじに当たるようなもの」と言われてきたフィンランド。私の周りのフィンランド人たちも「これまでは不満があってもフィンランドに希望が持てたが、さすがに今の政府には希望もないかも」、「フィンランドの売りだった教育や福祉に回す予算を減らして、システムを壊して、今から昔の予算に戻したって、元に戻るには数十年かかるだろう。現政権の4年間でどれだけフィンランドが破壊されるのか」などと語っています。


翻訳: Petra@妙見星の下で

Yle, Iltalehti, [YLE]

(abcxyz)

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