2017年3月1日水曜日

フィンランド大使館「フィンたん」が主人公のアニメが適当すぎて見るのが辛い。(追記あり)

7歳のフィンランド人の男の子という設定のフィンランド大使館のマスコットキャラ、フィンたん。フィンランド独立100周年を記念してアニメになりました。でもその第1話の内容が適当すぎて非常に残念です。





ある日フィンたんが道を歩いていると、エアギターコンテストの英語の看板が、その次には携帯投げコンテスト、サウナフェスティバルの看板が登場し、それらにフィンたんが参加する、という内容。幾度となくフィンランドを紹介する日本のテレビ番組が紹介してきた「変な大会」を大雑把に紹介しただけの薄い内容です。フィンランド大使館のマルクス・コッコ報道・文化担当参事官は、今回のアニメの製作について「日本の方々のフィンランドに対する関心をもっと高めたいと思い」作ったと語っていますが、「関心をもっと高めたい」と思うのであればもっと知られていない内容、突っ込んだ内容にすべきだったでしょう。

フィンたんが既に知られた存在であることを逆手に取ったのか、フィンたん自体の紹介は「モイ、僕フィンたん」という以外にはなし。フィンランドという国の紹介すらありませんし、そもそも場所の設定がフィンランドかどうかもエアギターコンテストが終わるまで不明。そもそも英語の看板が立っている時点でオカシイですし、フィンランド人であるはずのフィンたんが(優勝者が切手になるほどの)エアギターコンテストの看板を見て「なにこれ面白そう」というのも変です。携帯会社Nokiaで世界中で名を知られていたこともスルーして最後に写るのは壊れたiPhone。

フィンたんは元々はフィンランド大使館のツイッターアカウントのあだ名でした。ツイッターで使われていた「なう」(今現在していることの後に付けて使用する。英語の「now」から来た)をフィンランド語にした「にゅっと」(nyt)という言葉を流行らせたり、フィンランド語の紹介も積極的にしていました。それなのに、ある意味キャッチフレーズともなった「にゅっと」すら使わず、出てきたフィンランド語の単語は冒頭と最後の「もい」(moi)と「サウナ」(sauna)だけ。ツイッターでのフィンたんの人気は、日本のアニメでフィンランドを代表するキャラクターが登場していることを知っているかという質問に対し「全て把握しております」と答えた事から出たものです。その文脈を全く無視して、後に公募で選ばれたマスコットキャラだけで人気を得ようとしている様子は、ただの張りぼて。フィンたんという人気を生み出した個性を抜きにし、その見た目だけを利用しているわけです。

「フィンランド人の革新的、創造的な部分だけではなく、真面目になりすぎない、接しやすい一面についても知っていただければ」とコッコ報道・文化担当参事官は言っていますが、果たしてこの適当すぎるアニメーションでそのどこが伝わるのでしょう。そもそものツイッターアカウント「フィンたん」が持っていた魅力を持ち合わせていないキャラクターに、魅力のない内容のアニメーションをつけて、何を伝えれるのでしょうか?独立100周年を記念して制作されたアニメがこんな適当な内容で、これを日本語音声とフィンランド語と英語の字幕をつけて世界中に発信して、フィンランドも日本も恥ずかしいとは思わないのでしょうか?

フィンランド人からもこのアニメは「適当すぎる」、「何故iPhone…」、「作った日本人はフィンランドにあまり関心がないのでは」、「予算無かったのかな」、「フィンランド側と日本側でコミュニケーションが取れてなかったのでは」などとのコメントも。更にはこんな意見も。

そもそもSuomi 100/フィンランド独立100周年記念関連事業は適当なものが多すぎる。独立100周年記念プログラムの一部となっている夏に行われる音楽イベント「Vuosisadan Kulttuurigaala」に音楽アーティストを無料で演奏させようとしているんだけど、別に寄付するから無料で演奏してとかじゃなくて、来場者のチケットで収益を得るイベントなので問題になっている。このフィンたんのアニメも100周年記念事業の適当さをよく表せているんじゃないか。

記念事業が変な事になるのは日本もフィンランドもさほど変わらないのかもしれません。

追記:「Hyvä veliじゃないの?」という意見もフィンランド人から聞かれました。フィンランド大使館のページにも記されているように「今回アニメの総監督・プロデューサーを務めるのは、フィンたんの生みの親でもある糸曽賢志さん」、つまりフィンたんのマスコットキャラを作った人物自らアニメの総監督とプロデューサーを務めているというわけ。なんだか都合が良すぎる気がしないでしょうか?また、もともとフィンたんは100周年事業として「アニメーション化もしくは漫画化を企画」されており、そのストーリーをフィンランド大使館が公募していますが、昨年9月になされているべきその結果の発表はどこにも見当たりません。フィンたんのアニメーションでは放送作家であるという「オンダユウ」氏が担当しています。

追記2:ソース表記が適当とのご指摘がありましたが、「フィンランド人の意見」部分は私がこのアニメーションを見せたヘルシンキ在住のフィンランド人たちの意見です。


YouTube [via フィンランド大使館、東京]

(abcxyz)

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